2112年のノーザンベース

ネコ型ロボットと異形の仮面と光の巨人etc.

感想:飛羽真の決断、そして受け継がれし思い...「セイバー+ゼンカイジャー スーパーヒーロー戦記」

 いや~・・・、見てきました!スーパーヒーロー戦記!!!

セイバーとゼンカイジャーのコラボや歴代ヒーローの大集合が特に取りざたされる要素ではありますが、今回の感想記事ではタイトル通り「飛羽真の決断」、そして「受け継がれし思い」という二つの要素に着目してお届けします。

以下、ネタバレ注意

 

 

 

 

 

 

 まず、今回の映画は自分が想像していた以上に「仮面ライダーセイバー」の映画でした。(もちろんゼンカイジャーの面々もメインですし、ゲスト出演のレジェンドヒーローの皆さんもすごかったです!)

この物語の中心は仮面ライダーセイバーの主人公・神山飛羽真と、謎の少年こと若き日の石ノ森章太郎先生。

本作で飛羽真は、物語の外の世界・「現実」に放り込まれます。

ノーザンベースも全知全能の書もワンダーワールドもメギドも存在しない、平和な世界。「現実」ではルナはごく普通の人間として大人に成長しており、飛羽真、賢人と共に仲良く暮らしている。この3人だけでなく、尾上さんがそら君と普通の親子として暮らしていたり、賢人のお父さんである隼人さんも健在だったり・・・。

正に、セイバー本編で起こった全ての悲劇が存在しない完璧な世界。しかし、飛羽真は言います。「物語の登場人物が物語から逃げちゃダメだ!」と。

この「現実」世界にいれば、命をかけて戦う必要も、ルナや賢人と離れ離れになる必要もありません。なぜなら今までの悲劇は全て「物語」だったから。「現実」でそんな運命は存在しないのだから。

それでも、飛羽真はそんな幸せな「現実」の世界を拒否して、辛く厳しい「物語」の世界にもう一度足を踏み入れようとするのです。

例え「現実」の方が幸せだろうと、逃げない。

きちんと「物語」としてルナを救って、3人で笑い合える未来を創ると、そう決断したのです。

飛羽真は映画冒頭で「誰かを救うために仮面ライダーになったのに、自分で生み出したキャラクターに自分で苦しみを与えるのはどうなのか」と、創作者としての矛盾に苦しんでいました。つまり、自分達のこれまでが「物語」だったと判明した時点で、飛羽真に苦しみを与える創造主がいるという事実にも飛羽真は気が付いているはずです。それでも飛羽真は逃げませんでした。自分自身も小説家という創造主の一人であるが故かもしれません。

そしてそんな重い決断を下した飛羽真の作家としての思いは、自分の描きたいヒーローがわからなくなってしまった少年・石ノ森先生に受け継がれます。作中で様々なヒーローに出会いながらも、「僕の描きたいヒーローとは違う」と嘆き続けていた石ノ森先生でしたが、その理由は「出会ったどのヒーローにも、悪の要素が感じられるから」という物。ヒーローは絶対的な正義でなければならないのに、悪の要素が混じっていてはダメなんだと落胆する石ノ森先生でしたが、飛羽真の言葉に影響されて創作意欲を取り戻し、「正義であり、悪でもある」仮面ライダー1号アカレンジャーを考案。50年分の歴史を重ねた仮面ライダーと45作分の歴史を持つスーパー戦隊が勢ぞろいを果たします。

そしてその後、自分が未来で死ぬ事を知った石ノ森先生が、自分が死んだ後もその思いが受け継がれているという事に驚いているシーンも印象的です。セイバー本編で飛羽真がストリウスと対峙した際の、「物語は時を超えて人に伝わり、夢や感動や希望を与える事が出来る。そしてそこからまた新しい物語が生まれるんだ!」というセリフと重なってジーンと来ました・・・!飛羽真のこのセリフは、まさに仮面ライダースーパー戦隊の有り様を示してますよね!そして映画作中で「お前らはもうネタ切れ!二次創作!オワコン!」と罵るアスモデウスに介人が言い放った「意味がないんだったら、こんなに続くわけ無いだろ!」という言葉も胸を打たれました!時代が必要としたからどんな時にも仮面ライダースーパー戦隊は現れるんだな、と深く首を縦に振らざるを得ません!

 

 

 このように、本作の飛羽真は幸せなIFを見せられてもなお自分を曲げず、「物語の結末は俺が決める!」という決め台詞を体現するかのような活躍を見せてくれて本当にかっこ良かったです!もちろんゼンカイジャーの面々との絡みも面白かったですし、全員集合した場面でセイバーのライダーたちが皆でスーパー戦隊さながらの名乗りを上げる所もすごく決まってました!この映画がセイバーとゼンカイジャーの活躍している今この時期に作られて本当に良かったと思います!!!

「正義と悪を併せ持つヒーロー」について深く取り上げた本編の後に、「毒を以て毒を制す、悪魔と契約して戦う」という新ヒーロー・仮面ライダーバイスの短編映画がサプライズ上映されたのも感慨深い構成でした!正に原点回帰!それでいて「一人で二人の仮面ライダー」という全く新しい要素も併せ持つリバイス、楽しみですね~!!!(ちなみにリバイス短編は悪魔のバイスのテンション高いキャラがすごく面白かったです!)

でもセイバー本編があとちょっとで終わってしまうのは寂しい・・・。飛羽真、そしてノーザンベースの皆、最後の1か月も頑張って~!!!